「FXの税金の仕組みとは?申告分離課税と雑所得の計算方法を理解しよう!」 ~初心者副業トレーダー、専業トレーダー向けの税金の話~

はじめに
皆さんは確定申告を行ったことがありますか?

個人事業主などの場合はなじみの深い確定申告ですが、会社員の場合は、まずやったことがないという方がほとんどでしょう。

この確定申告、毎年2月半ばから3月半ばにかけて行われるのですが、初心者のうちはどうやって手続きすればよいのかわからず、気が付いたら申告期限を過ぎてしまって困ったことに、ということも実際にあります。

今回はそんな方に向けて、税金の仕組みや確定申告について書いていきたいと思います。

なお、税については毎年微細な変更が行われるため、最新の情報については国税局HPで確認するようにしてください。
国税局確定申告HP

また、経費などについては税務署ごと、税理士ごとに解釈が異なることもあります。
あとで困ることのないように、しっかりと確認するようにしましょう。

■確定申告について

では、まずは確定申告について簡単に説明すると

「ある年の1月1日から12月31日までの収入を計算しそれに見合った税金を納める」

とうことになります。

サラリーマンの場合は給与部分に関しては会社が税金の計算をしているので、それ以外の部分については自分で申告を行わないといけません。

■確定申告が必要になるのはどんな時?

次にどういった場合に確定申告をしないといけないのか、ということですが

★給与所得者(会社員など)場合は年間の利益が20万円以上の場合
★非給与所得者(専業主婦や専業トレーダー)の場合は年間の利益が38万円以上の場合

となっています。

逆に言うと、年間の利益がこれ以下の場合は申告は不要ということになります。

また、確定申告の課税対象となるのは、ポジションを決裁して損益が確定したものに限られるので、ポジションを保有したままであれば含み益があっても課税対象とはなりません。

なので、年末に節税対策でポジションを保有したままにしておけば、その分の利益については来年以降にポジションを決裁した年の確定申告で申告すればよいという事になります。ただ、年末は市場の流動性が高いのでせっかく積み上げた利益がなくなってしまう、というリスクも頭に入れておく必要があります。

■国内FXと海外FXの違い

海外FXの場合は国内FXの場合と若干取り扱いが違うので、その辺りもきちんと押さえておく必要があります。
以下の表に簡単に違いをまとめてみたので、参考になさってください。

国内FXと海外FXの違い

項目 国内FX 海外FX
所得区分 雑所得 雑所得
税区分 申告分離課税 総合課税
税率 一律20%

※2037年までは復興特別所得税があるため、20.315%
※累進課税:利益によって変動

損益の相殺 「先物取引に係る雑所得等」に分類される項目
(例:複数の国内FX業者間の損益、先物・オプションによる損益)
「雑所得、総合課税方式」に分類される項目
(例:複数の海外FX業者間の損益、仮想通貨の損益、アフィリエイト収入)
損失繰越 3年分の損失繰越が可能 不可
確定申告する所得水準 給与所得者(サラリーマン):20万円超
非給与所得者:38万円超) 給与所得者(サラリーマン):20万円超
非給与所得者:38万円超)

用語のうち専門的なものについて簡単に説明していきます。
※齟齬を防ぐために国税庁のHPから引用して、それを説明します。

◆申告分離課税

(前略)しかし、一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算し(この点が総合課税制度と異なります。)、確定申告によりその税額を納めることとなります(この点が源泉分離課税制度と異なります。)。これが申告分離課税制度です。(後略)

つまり、給与などの所得と、FXで得た所得を別々に計算して、それぞれの金額に応じて税金がかかる、ということになります。

◆総合課税

総合課税制度とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算するというものです。

つまり、色々な事業や給与などの所得と、FXで得た所得を全て合算して、その金額に対して税金がかかる、ということです。

◆損益の相殺

これは簡単に言うと、複数のFX業者で取引をしていて、一方では利益が出たが、片方では損失が出てしまった場合などにそれらを全て合算して、利益と損失を相殺できる、ということなのです。

ただ、残念ながら国内FX業者と海外FX業者の間では損益を相殺することはできません。

これは税区分が異なるため、その取扱いも異なるということがことが理由なのです。

しかしながら国内FX会社同士、海外FX会社同士であれば相殺可能で、なおかつFX以外の所得(例えば、ブログでFXの記事を書いていてアフィリエイト収入がある場合)があるときは、それについても損益の相殺をすることができます。

◆損失繰越

国内FXで損失が出てしまった場合は確定申告をすることによってその損益を翌年以降3年にわたって損失として利益から引くことができます。

例えば、今年の確定申告でマイナス100万円で、翌年が300万円のプラスだった場合は、その利益から昨年分の損失100万円を引いた200万円を利益として申告することができます。

海外FXの場合はいくら損失が出ようが関係なく、単年での申告となります。

■青色申告、白色申告

確定申告の時期になると色々なところで目にすることがある「青色申告」という文字。
あるいは、青色申告専用のPCソフトのCMで目にしたことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。

それとは別に「白色申告」というものも存在していますが、こちらはどちらかというとマイナーなので初耳という方もいらっしゃるかと思います。

これらの申告の違いですが、簡単にいうと

「法人、あるいは一定以上の収入がある個人事業主が行うのが青色申告。給与所得者、あるいは規模の小さい個人事業主が行うのが白色申告。」

と覚えていただければよいかと思います。

青色申告の場合は複式簿記など、わりと大変な帳簿の提出が必要な代わりに控除の額が大きいですが、白色申告の場合は簡単な家計簿程度の帳簿の提出で大丈夫な代わりに、控除の額が少なくなってます。

規模の大小については、これも税理士や税務署によって見解が異なりますが、一般的な感覚だと年間の利益が300万円程度を超えてきたところから青白申告にすることが多いようです。

 

さいごに

ここまでFXの確定申告について述べてきましたが、これらはあくまでも一般的な話なので、各FX会社によって、損益確定のタイミングなどが微妙に異なってくるようです。
特に海外の業者の場合は時差の都合意図しないタイミングで決済となってしまうこともあるので、各社のHPをしっかりと読み込んで、勘違いや思い違いがないようにしておいた方が良いでしょう。

また先にも述べましたが税については毎年何らかのマイナーチェンジが行われているため、昨年までのやり方で申告したのにそれでは通用せず、後になって修正申告などを行わなければならなくなることもあります。

国税庁のHPもしっかりと確認し、わからないことは近くの税務署に行って直接質問しましょう。

確定申告が始まってしまうと、税務署はかなり混雑してしまうので、遅くても2月上旬には手続きをするようにしましょう。

初めての場合はわかりづらいことも多く及び腰になりがちですが、早めに準備して、余裕をもって申告したいものですね。

しっかりと申告して正しく納税&賢く節税していきましょう。

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