もくじ
ADRの仕組みとは?株との違い、世界中の企業に投資できる方法!
昨今インターネットの発展で、日本のみならず米国を始め多くの国の企業に投資をすることができるようになりました。
今までは株式投資というと、日本株が主でしたが、現在多くの投資家が行っているのは米株投資です。
以前は、米株投資を行うハードルは非常に高かったですが、今は多くの証券会社で米株の取り扱いがあるので簡単に行うことができます。
世界には魅力的な企業がたくさんあり、この記事を読んでいる方の中には、世界の魅力的な企業に投資したいと思っている方は多いのではないでしょうか?
そこで、今回は世界の様々な企業に投資をすることができるADRという仕組みについて詳しく説明をします。
わかりやすく説明をしますのでぜひ参考にしてくださいね。
ADRとは
ADRとは、はAmerican Depositary Receiptの略語で、日本語では米国預託証券と呼ばれています。
ADRは、アメリカ株式市場で売買することができる外国企業の証券のことです。
ADRを利用することによって、世界中の企業の証券を株式のように取引することができます。
日本でも、アメリカの株式や中国や東南アジアの一部の国の企業の株式を購入することができますが、購入することができる国はまだまだ少ないのが現状です。
ADRを使えば、日本では投資が難しいイギリスやインドの企業の証券を買うことができますので世界中の企業に投資することができます。
ADRで買うことができる主な企業についてまとめました。
社名 | 業種 | 拠点国 |
アリババ集団 | ネット通販 | 中国 |
TSMC | 半導体製造 | 台湾 |
SAP | 業務ソフト | ドイツ |
アストラゼネカ | 医薬品 | 英国 |
チャイナ・モバイル | 通信 | 中国 |
アンハイザー・ブッシュ・インベブ | 飲料 | ベルギー |
ロイヤル・ダッチ・シェル(B株) | 石油・ガス | 英蘭 |
グラクソ・スミスクライン | 医薬品 | 英国 |
ディアジオ | 飲料 | 英国 |
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ | タバコ | 英国 |
BHPグループ | 金属・鉱業 | 豪英 |
インフォシス | ITサービス | インド |
BP | 石油・ガス | 英国 |
ウエストパック銀行 | 銀行 | 豪州 |
ナショナル・グリッド | 送電 | 英国 |
ボーダフォン・グループ | 通信 | 英国 |
ノキア | 通信 | フィンランド |
では、このADRですがどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
ADRのメリットは2つ!
ADRの主なメリットは2つです。
- 米国以外の様々な国の企業の株式を買うことができる
- 国によって配当の税金が0の国もある
ADRのそれぞれのメリットについてわかりやすく説明しますね。
米国以外の様々な国の企業の株式を買うことができる
ADRを使うことによって、日本では買うことができない様々な国の株式を購入することができます。
現在はグローバル社会です。日本固有の事情だけでなく世界の様々な事情によって株式は大きく変動する時代になっています
もちろん、世界の中心はアメリカであることに間違いはありません。
しかし、アメリカと日本の株式だけでポートフォリオを組んでしまうことには、少なからずリスクがあります。
なぜなら、今後、爆発的に株価を上げる企業はアメリカと日本だけでは決してないからです。
特に、インドやブラジルなどの新興国は無限の可能性を秘めています。
これらの国をポートフォリオに入れないことは、今後大きなリスクになりかねません。
ADRを使うことによって今までは投資することができなかった国の企業に投資できることは、ハンドメイドのポートフォリオを作ることができるので大きなメリットといえるでしょう。
国によって配当の税金が0の国もある
ADRのデメリットのところで詳しく説明をしますが、例えば米国の株式を購入し配当を受け取った場合、米国でも課税され日本でも課税されることになります。
つまり、二重課税が課せられるのです。例えば、アメリカの場合、配当に対して10%の税金がかかります。
そして10%の税金が差し引かれた配当に対し日本の税率である20.315%の税金がかかるのです。
外国税額控除という制度がありますので確定申告をすることによって、一定の金額を控除することはできますが、計算が非常に難しいのが難点です。
しかし、国によっては配当に税金がかからない国があります。
例えば、イギリスやブラジル・インド・オーストラリアなどは、配当に対して税金がかかりません。
これらの国に投資をして配当を受け取っても二重課税されないことは、ADRを使う大きなメリットになるでしょう。
ADRのデメリットは4つ!
ADRの主なデメリットは4つです。
- 米ドルの為替リスクがある
- 手数料がかかる
- 上場廃止になる恐れがある
- 税金が高くなる恐れがある
ADRの主なデメリットについてわかりやすく説明していきますね。
米ドルの為替リスクがある
ADRは海外の国の企業に投資をしますので、当然為替リスクがあります。
ただ、ADRの場合、米ドル建てですべて換算されますので米ドルの為替リスクが投資家にとってのリスクになります。
例えば、イギリスの企業に投資した場合、当然、配当はイギリスポンドで支払われますが、米ドルに換算されることによって仮に増配になっていたとしても為替レートによっては受け取る金額が少なくなってしまうことがあるのです。
日本の企業に投資する場合、日本円で配当が支払われますのでこのようなリスクはありません。
為替リスクがあることは、ADRに投資するリスクの1つといって良いでしょう。
手数料がかかる
ADRに投資する場合、税金とは別に手数料が取られることがあります。
これは、すべてのADRに限らず株式投資にいえることですのでADR固有のリスクとはいえませんが、ADRの中には非常に手数料が高い銘柄もありますので注意してください。
上場廃止になる恐れがある
ADRの中には、自国での上場は継続しても、米国市場のADRを上場廃止にする企業もあります。
当然、上場廃止に関しては突然行われるものではありませんので、常に情報をチェックしておけば特に大きな問題にはなりません。
しかし、上場廃止に気づかずにいると現金化することができなくなってしまうリスクがありますので、購入したADRについては細かく情報をチェックするようにしてください。
税金が高くなる恐れがある
先ほど、説明した通り、ADR投資を行うと海外の国でかかる税金と日本の税金の二重取りが行われてしまいます。
確定申告によって調整することができますが外国税額控除の計算は難しいので、税金を取り戻すことに手間がかかってしまうことは大きなデメリットでしょう。
まとめ
今回は、様々な国の企業に投資することができるADRについて説明をしました。
現在の経済は今までにないほどグローバルに動いています。
様々な国に投資することができるADRに投資することは、ポートフォリオを構築する上で、大きなメリットになるでしょう。
ぜひ今回の記事を参考にADR投資についての理解を深めていただければ幸いです。