新規株式公開をIPOと言い、IPOで売り出される株式であるIPO株を購入して売却利益を得る投資方法をIPO投資と言います。IPO投資は多くの利益を高い確率で見込めることから人気の投資法ですが、「ブックビルディング」という方法が必要になってきます。
この記事では、ブックビルディングの仕組みと、情報収集や参加の仕方、メリットやデメリットを解説します。
もくじ
■ブックビルディングとは?
ブックビルディングとはIPO株の公開価格の決定法のことです。
ブックビルディング方式では、まず上場予定企業の経営状態や証券投資の専門家の意見などを参考にして上場予定企業や幹事証券会社が公開価格を設定します。
その後にブックビルディングを行い、公開価格の決定がされます。
つまりIPO株を幾らの価格で何株買いたいかを投資家が証券会社に申告をする仕組みのことになります。
ブックビルディングに参加しなければIPO株を買うことはできず、近年のIPO株の価格決定はブックビルディングが主流になっています。
例)IPO株の仮条件が1000円~1500円で単株元が100株
Aさん 1000円で100株購入希望申告
Bさん 1200円で300株購入希望申告
Cさん 1500円で200株購入希望申告
IPO株は人気があり、用意された株数よりも購入希望者が上回るので、購入者は抽選で選ばれます。
ブックビルディングは幹事証券からの申し込みが必要で、申請期間は5日間しかないので期間中の申し込みを忘れないようにすることが重要です。
■ブックビルディング参加の仕方
個人の投資家がブックビルディングに参加するには、IPO主幹事証券会社か幹事証券会社に口座を開設していなければいけません。
主幹事証券会社とはIPOの一連を任せられている中心となる証券会社のことです。
IPO株の当選数も多くなります。
幹事証券会社には引受幹事証券会社と委託幹事証券会社があり、引受幹事証券会社は証券取引所など関係機関と協議や調整を行う証券会社、委託幹事証券会社は幹事証券からIPO株の販売を委託された証券会社になります。
・主幹証券会社 役回りが一番多い証券会社で上場が上手くいくように企業に助言をする。
公開準備から公開後の企業サポートまで取り仕切る。
・引受幹事証券会社 IPO株の引受や販売を行う証券会社のこと。
複数の証券会社があり、メンバーはほぼ決まっている。
・委託幹事証券会社 IPO株の委託販売を行う証券会社のこと。
IPO株承認時の目録見書の発表には載らず、気づかれにくいのでIPO株当選の狙い目にもなる。
IPOごとに主幹事証券や幹事証券会社が変わりますが、なるべく多くの証券会社に口座開設をしておくことで抽選の機会も増え、当選しやすくなるでしょう。
ほとんどの証券会社は公式のサイトからブックビルディング申し込みができ、主な入力項目は申し込みの株数と株価になります。
ブックビルディングに参加するにはIPOの抽選資金が必要となり、抽選資金を証券会社の口座入金をすることになります。
抽選資金=申し込む株価×申し込む株数
参加するのに手数料などは発生せず、抽選資金は落選すると戻ってきます。
例)IPO株の仮条件が1000円~1500円で単株元が100株
上限1500円で100株応募
1500円×100株=15万円→抽選資金
証券会社の中には抽選資金が必要ない会社もあります。
当選を狙うのであれば、仮条件の上限で申し込むことがおすすめです。
仮条件の上限のことを「成行」と言います。
価格を入力しないでも良いので、応募の時にも楽です。
もし決定公募価格よりも低い株価で申し込んでしまうと抽選対象外となり、落選をしてしまいます。
例)IPO株の仮条件1000円~1500円で公募価格が1500円に決定した時
Aさん 1000円で100株申し込み→抽選対象外
Bさん 1500円で100株申し込み→抽選対象
IPOの抽選方法や配分方法は各証券会社で異なります。
また人気の高いIPO株ほど抽選の倍率は高くなります。
抽選に当選すればIPO株を買う権利が与えられるので、購入期間内に購入することが必要になります。
■ブックビルディングの情報収集の仕方
ブックビルディングの基本的な情報は日本取引所グループサイトで公開をされています。
またIPO情報は幹事証券会社のサイトでも公開されています。
ネットなどでもIPO銘柄の評価比較をしているサイトがあるので、参考にしてみましょう。
日本取引所グループサイトでは企業名と証券コード、市場区分や仮条件決定した株価と公開株数を知ることができます。
■ブックビルディングのメリットとデメリット
ブックビルディングのメリットは、投資家の需要を正確に反映してくれるところです。
入札方式は希望する価格を投資家が入れていった結果で公開価格が決まるので、入札金額の高騰や上場後すぐの株価急落などがありましたが、ブックビルディングではそのような可能性は低くなります。
また抽選資金が必要となりますが、落選をすれば戻ってきますし、手数料も一切かからないので損失が出ません。
デメリットは申込期間が短いことと、当選後の購入期間が短いことです。
どちらも数日しかないので、忘れずに申し込みや購入をすることが重要です。
■ブックビルディングの注意点
ブックビルディングの注意点は、購入金額の抽選資金相当の預かり資産がないと受付がされないことや、申し込みして数日以内に抽選資金相当額を口座に入れないといけないことがあります。
過去に数カ月取引をしていない人も申し込むことができません。
また成功注文での抽選購入資金は、指定された範囲の上限を用意しなければなりません。
仮条件が1000円~1500円のIPO株を500株成功で参加するには1500円×500株=75万円が必要となります。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
ブックビルディングのポイントをまとめると
・IPO株を取り扱う証券会社の口座開設をする
・ブックビルディングの期間中に申し込みをする
・仮条件の上限で抽選に申し込みをする
・当選した後には忘れずに購入をする
以上の4つになります。
簡単な手続で高い利益が狙えるブックビルディングを活用して、資産運用に役立ててくださいね。