数学用語としてもよく知られている「フィボナッチ」は、FXでも使用することができます。
フィボナッチの黄金比はFXのチャート上にも表れることがあり、相場の転換点を予測することができるので、売り買いの目安となるからです。
この記事ではフィボナッチ比率についての解説と、それぞれの用語、フィボナッチをFXに利用する方法を紹介します。
もくじ
■フィボナッチ比率とは?
フィボナッチ数列はイタリアの数学者レオナルド・ダ・ピザが発見した、人類が最も美しく心地よいと感じる比率のことで、自然界の全てを支配していると言われています。
フィボナッチ数列では「0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89・・・・」と続くフィボナッチ数の数列のことで、0と1を除き、全ての数字が前の二つを足した数字と同じになります。その他の特徴としてはフィボナッチ数の数が大きくなるにつれ、前の数字に対する増加率は限りなく1.618に近づき、後ろの数字に対する減少率は限りなく0,618に近づく点があります。
この比率をFXの相場に当てはめ、分析に活かしたものが「フィボナッチ分析」です。相場を自然現象の一つとし、黄金比率を使って分析することで押しや売りのタイミングを見極めるのです。フィボナッチ比率には様々なものがありますが、FXの相場では38.2、50.0、61.8がよく使われています。
■フィボナッチ分析を使った分析方法
フィボナッチ比率を使った分析には、このような種類があります。
①フィボナッチ・リトレースメント
相場のトレンドは押し戻りを繰り返しながら形成されますが、チャートの目安となる高値と安値の値幅をフィボナッチ比率で分析し、押し戻りの目安を推測する方法が「フィボナッチ・リトレースメント」です。
チャートを見てみると、38.2、50.0、61.8などの水準で押し売りが完了することがよくあります。トレンドが上昇している時には高値からの38.2反落や50.0反落、61.8反落が買いの参考目安となり、トレンドが下落している時には安値からの38.2反発、50.0反発、61.8反発が売りの目安になります。
フィボナッチ・リトレースメントは高値と安値のラインを指定するだけのラインで、簡単かつ便利な手法なので、初心者にもおすすめです。
フィボナッチ・リトレースメントの引き方は
⑴トレンド発生を確認する
⑵トレンドの高値と安値を結び、フィボナッチ比率に注目する
以上です。
フィボナッチ・リトレースメントで注目する比率は23.6、38.2、50、61.8、76.4の5つです。この比率でレートが動く傾向があるので覚えておくと良いでしょう。
②フィボナッチ・エクスパンション
フィボナッチ・リトレースメントと同じように、トレンド上昇中に押し形成後、そこから値幅がどのくらい上昇するか、またトレンド下降中に戻り形成後、そこから値幅がどのくらい下落するかをフィボナッチ比率を使い分析したものが「フィボナッチ・エクスパンション」です。
目安となる高値と安値を付けた後の押し戻りの値幅から価格の到達するめどを立てます。相場のトレンドが強い時は調整は弱くなるので100.0が反転ポイントとなり、トレンドが弱い時は調整が強くなるので38.2が目安にされることが多いです。
③フィボナッチ・タイムゾーン
フィボナッチ・タイムゾーンとは、時間にフィボナッチ比率を使って分析をする方法です。
相場の上昇と下落の周期もフィボナッチ比率に関連すると考え、相場の転換点を予想します。2点の指定した時間をフィボナッチ比率に当てはめることで相場の分岐点を推測し、相場展開を予想していきます。
しかし時間軸だけの分析では取引は困難なので、補助的な分析法として捉えたほうが良いでしょう。
④フィボナッチ・アーク
フィボナッチ・アークとは、時間と値幅にフィボナッチ比率を使って分析をする方法です。
トレンドの高値と安値を指定し、指定した場所を中心にして円を描きます。フィボナッチ比率の円形を描くのです。フィボナッチ・アークは、値幅に重点を置いたフィボナッチ・リトレースメントに時間を加えたものになります。
フィボナッチ・アークはレジサポラインの目安を教えてくれます。レジサポラインのタイミングは相場の分岐点になることが多いので、注目したほうが良いでしょう。
■フィボナッチ・リトレースメントを相場に活用する方
フィボナッチ比率を使った分析方法の中でも、多くの投資家が使う代表的なツールとしてフィボナッチ・リトレースメントの活用方法を紹介します。
①押し目、戻りを予測する
フィボナッチ・リトレースメントはトレンドが相場に出ている時に、一時的な押し目や戻り目を判断することができます。トレンドが上昇している時には、押し目がどこまで下がるか知ることができ、トレンドが下降している時には、戻りがどこまで上がるか知ることができるのです。意識される数値は、38.2、50.0、61.8でしょう。
38.2で止まりトレンドが戻る時はトレンドの勢いが強い、61.8で止まりトレンドが戻る時はトレンドの勢いが弱いと判断することができます。
またトレンドが下降している時に50.0の半分の価格まで反発した時には、その反発は一度終了する可能性が高いことも覚えておきましょう。
③レジサポラインとして活用する
水平に線を引くフィボナッチ・リトリースメントは、レジスタンスラインやサポートラインにもなり、相場分析やエントリー、エグジットのタイミングを測ることもできます。チャートのローソク足がレジサポラインに近づくと、反発や抵抗をしやすくなるのです。
大きな時間軸で高値と安値を付け、レンジのように移行するパターンでは、フィボナッチ・リトレースメントをレジサポラインとして使ってみましょう。レジサポラインとして活用することで、新規売買や損切注文が集中しているタイミングを知りることができ、より相場では優位になるでしょう。
④逆方向のエントリーに使う
フィボナッチ・リトレースメントの基本の使い方は、トレンド発生時に調整のタイミングでエントリーを狙うことです。つまり、逆方向のエントリー方法としておすすめの方法なのです。機能しそうなラインに届いた時には、逆方向にエントリーすることでトレードでは優位に立つことができるでしょう。
■フィボナッチの注意点
簡単で使いやすいフィボナッチですが、FXで使用する上ではいくつかの注意点があります。
①フィボナッチの起点は固定しないこと
目安となる目立つ高値と安値を結ぶことでラインを作成し、フィボナッチを活用することができますが、自分の結んだラインが多くのトレーダーに意識されなければ意味がありません。色々なラインを試してみて、多くのトレーダーに意識されるラインを引くことが重要になります。
②フィボナッチも絶 対的なものではない
FXで絶対に活用できるというテクニックはありません。フィボナッチの力だけを信じて、大きなロットでエントリーするのはやめましょう。必ずトレードが転換すると判断するのも良くないでしょう。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
古くから自然界で使われるフィボナッチ比率は覚えやすく、トレーダーの心理をつかんだテクニックになります。特に初心者でも簡単に作成することができるフィボナッチ・リトレースメントはFX取引をする人にとっては取り入れやすいでしょう。
フィボナッチを使って様々なラインを試してみたり、自分で情報収集をすることでより優位なトレードができるのでぜひ試してみてくださいね。